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現在の洋式トイレ市場は、主に以下の3つのタイプに分類されます。

① タンクレストイレ

水を溜めるタンクをなくし、水道直結で流すタイプ。
圧倒的なデザイン性と省スペース性が魅力。
（例：TOTO ネオレスト、LIXIL サティス）

② タンク一体型トイレ

便器とタンク、便座（ウォシュレット）が継ぎ目なく一体化したタイプ。
タンクレス風の見た目と手頃さを両立。
（例：TOTO GGシリーズ、LIXIL プレアス）

③ 組み合わせ便器

タンク、便器、便座が別々のパーツになっている従来のタイプ。
故障時に便座だけ交換できるのが最大の強み。
（例：TOTO ピュアレストQR）

今回は、特にお客様から「違いがわかりにくい」「どっちがいいの？」とご質問が多い、①と②の違いを深掘りしていきます。

洗浄方式と水圧：「タンクレスは2階に置けない」は昔の話！

【タンクレストイレ】
水道管と直結し、水道の水圧を利用して一気に流す「水道直圧式」です。
連続して水を流せるのがメリットですが、かつては「水圧の低い2階や高台への設置は流れが悪くなるためNG」とされていました。
しかし、2025年現在の最新モデル（TOTO「ネオレスト」など）は、ブースター（加圧装置）やハイブリッド洗浄技術を内蔵した低水圧対応モデルが主流になっています。
これにより、今では多くの戸建て2階やマンションでも問題なく設置可能です。

※ただし、極端に水圧が低い古い建物などの場合は、事前に水圧調査が必要になることがあります。

【タンク一体型トイレ】
見た目はコンパクトですが、背中部分に水を溜めるタンクがある「貯水式」です。
一度タンクに水を溜めてから、その水の重みで流すため、建物の水圧に左右されず、どのような環境でも設置できるのが最大の安心ポイントです。

手洗い器の有無：ライフスタイルに合わせて選択

【タンク一体型トイレ】

「手洗い付き」と「手洗いなし」を選べます。特にTOTOのGG-800などは、大人も子供も使いやすい広くて低い手洗いボウルが特徴です。
トイレ内に別途手洗い器を設けるスペースがない場合や、コストを抑えたい場合に非常に便利です。

【タンクレストイレ】

構造上、本体に手洗い器は付けられません。
そのため、トイレ室内に別途「手洗いカウンター」を設置するか、トイレを出てすぐの洗面所で手を洗うことになります。
「別の工事が必要でお金がかかりそう…」と思われるかもしれませんが、最近は大掛かりな給排水工事なしで、トイレの給排水を利用して簡単に設置できる「ワンデーリモデル」タイプも人気です。
収納も増えるため、スッキリ片付いたトイレを目指す方にはおすすめです。

コンパクトさ：空間をより広く見せるのは？

タンクレストイレは、タンクがない分、高さが低く、奥行きも約10cm～15cmほど短くなります。
たかが10cmと思うかもしれませんが、トイレという限られた空間（通常0.5坪〜1坪）において、この差は絶大です。
便器の前が広くなることで、立ち座りの動作が楽になり、圧迫感がなくなります。
一体型トイレも従来の便器に比べれば十分コンパクトで凹凸も少ないですが、やはりタンクがある分、高さと奥行きがあり、タンクレストイレほどの圧倒的な開放感はありません。

掃除のしやすさ：ホコリの溜まり場がなくなる！

主婦の皆様から最も支持されるポイントがここです。
タンクレストイレは、便器の後ろ側やタンクの下といった「手が届きにくくホコリが溜まりやすいデッドスペース」がほとんどありません。
サッとひと拭きで掃除が完了します。
一体型トイレも継ぎ目を減らした設計にはなっていますが、やはりタンクの裏側や側面などはホコリが溜まりやすく、掃除の際には少し手間がかかる部分が残ります。

リモコンのデザイン性

トイレを「ただの排泄の場」から「くつろぎの空間」へ。
タンクレストイレ（ネオレストなど）では、標準のリモコンに加え、アルミやステンレス調のスタイリッシュな「スティックリモコン」など、デザイン性の高いオプションを選べる機種が多いのが特徴です。
一方、一体型トイレは、機能ボタンが大きく配置された、ユニバーサルデザインの分かりやすいリモコンが一般的です。

リフォーム費用：グレードと価格帯

2025年現在の、商品代＋基本工事費を含んだリフォーム費用の目安は以下の通りです。

※TOTOの最高峰モデル「ネオレストNX」などは定価70万円を超え、便器そのものが芸術品のような佇まいです。予算と「どこまでこだわるか」のバランスが大切です。

メンテナンス性：ここが一番の悩みどころ

ここは購入前に必ず知っておいていただきたいポイントです。
タンクレストイレも一体型トイレも、「ウォシュレット機能部」と「便器」が電子的に一体化しています。
そのため、もしウォシュレット部分が故障した場合、メーカーの部品保有期間（製造終了から約10年）を過ぎていると修理ができず、ウォシュレット部分だけでなく、まだ使える便器も含めて「トイレ丸ごと」交換が必要になります。

「10年後にまた全部交換するのはもったいない…」と考える方は、デザイン性は少し劣りますが、便座だけを数万円で気軽に買い替えられる③の「組み合わせ便器」を選ぶのも一つの賢い選択肢です。
しかし、それでも多くの方がタンクレスや一体型を選ぶのは、そのデメリットを上回る「日々の掃除の楽さ」や「快適さ」「デザインの良さ」があるからです。

最後に、2つの違いを一覧表で比較してみましょう。

いかがでしたでしょうか？
「予算を抑えつつ、スッキリとした見た目に変えたい」なら一体型。
「トイレを広く使いたい、最新機能で掃除の手間を極限まで減らしたい」ならタンクレス。
ご自身の優先順位に合わせて選んでみてください。